「変わった?」
「うん。小学生の子たち、みんな変わってた」
「やっぱりあの子たちだったんだ。よかったね」
「ほんとに」
「瑞季くんの力はすごいよ。変えられたじゃん」
「あそこまで苦労してやっと、だけどね」
「でも、すごいよ。本当にすごいよ」


何度も褒めてくれる成田さんに悪い気はしない。

今回は僕らしくなかったけど、あがいてみた。

やるしかなかった。

その結果、変えることができたんだ。

今の僕は達成感で満ちている。


「結局、成田さんにも協力してもらったけどね」
「ハラハラしたよ。でも、瑞季くんが頑張ってたからわたしも死ぬ気で頑張った」
「僕も死ぬかと思った」
「生きててよかった」

本当にその通りだ。
心からそう思う。


「瑞季くんの必死にみんなを守ろうとする姿見て感動した」
「それは……成田さんのが移ったのかもね」
「え?」


ボソボソと小声で言ったセリフは聞こえなかったみたいで、サイドの髪を耳にかけてもう一度、とアピールする。

けど、もう一度は言わない。
一度しか言わない。

だって成田さんがニヤニヤするのが目に見えてる。
そして深く聞き出そうとすることも。

成田さんと一緒にいるようになって、彼女の熱に浮かされた。

いつもなら諦めていたはずが、運命に抗おうと必死になってあがいた。

成田さんの余命を減らすことが嫌だったから、使わせないために変えようとした。

全部、成田さんの影響で、僕が成田さんを守りたかったから。

こんなこと、絶対に本人には言いたくない。

調子に乗りそうだから、ずっと黙っておくよ。