君が僕にくれた余命363日


その時、車道をすごい音を立てた大型トラックが後方からやって来る。

通学路であり下校時間である今はトラック等の大型車は通り抜けを禁止されているはずなのに。

………あ、そういうことか。


ハッとして、すでに限界の足に命令しスピードを上げる。

動け、僕の足。
肺がつぶれても僕が何とかしないと。

でなきゃ、成田さんが……。


「走って!!」


今まで出したことがないくらいに大きな声を出す。
僕の声に反応した子どもたちが振り返る。


「あ、さっきのお兄さんだ!」
「おーい!」


気づいた子たちが手を振っているけど、それどころではない。

とりあえずみんなバラバラにするか。

いや、余命が1日ずつ違う子もいる。

とりあえずトラックから逃げないといけない。
僕の直感が危険信号を出している。


「走って!!そのまますぐ右に曲がって!!!」
「えっ?」
「どうしたの?」


のんきに聞き返して僕のほうへ走ってくる子ども数人。

だけど、後ろにいた子たちは気づいたのか顔色が変わる。


「何あれ?」
「こっち来る?」


言っているだけで走らない。
トラックはすごいスピードであと数十メートル。
少しでも遠くへ。


「走れ!!動け!!早く!!」


もう息が苦しい。
それでも叫び続ける。

丁寧な言葉でなんて言えず、必死に命令口調でも伝えた。

僕の言葉が聞こえたのか子ども達は悲鳴にも似た声を上げながら走って行く。

それに少しほっとしたけど、安心できるわけではない。