君が僕にくれた余命363日



……は?
小学生が【0】?

持病を持っている?


だとしても、今見る限りでは全長はまったく見えない。

そんなにいきなり急変するのか。
このタイミングに当たることはそうそうない。

だけど今までの経験上、考えられることがある。

この嫌な予感は当たる時の感じだ。

僕は女の子の頭から手を離し、近くにいる小学生にさり気なく順番に触れていく。


……やっぱりだ。

この場にいる小学生の子たちの余命が【0】や【1】ばかり。

多くてもあと数日といったところ。

この子たちはこれから何かに巻き込まれる。

それは事故か事件かまではわからない。

けど、そう考えるとみんなの余命が少ないことに説明がつく。

どうすればいい?

これも今までの経験上、救えないことはわかっている。

それでも未来あるこの小学生たちをここで見殺しになんてできるわけがない。

それにこのままだと……。


「成田さん、そろそろ行かないと木下さんに怒られるよ」
「あ、そうだった。ついついかわいい小学生たちと戯れてしまった」


本当に楽しそうに話していた。
精神年齢が近いんだろうな。

むしろ、成田さんはこの子たちよりも低そうだ。


「じゃあ、わたしたちは行くね」
「えー!」
「もっと話したい」
「早く帰らないと心配するよ」


成田さんの何気ない言葉に、心臓が鷲掴みにされた。


「んー、しょうがないなぁ」


小学生もしぶしぶ納得する。
本当に、帰らないと心配するよ。

送り出したのに家に帰って来ない。

そのことがきっといちばん親にとって辛いことだ。

ニュースでたまに見るけど、見ているだけで胸が張り裂けそうになるほど苦しくて痛くて辛い。

それが今、目の前で起ころうとしている。


「じゃあね」
「また話してね!」
「もちろん!話そうね!」
「お兄さんも」
「うん」
「またね〜」


手を振ってお互いの目的地へと向かう。

成田さんは小学生と話せたことがよっぽど嬉しかったのか、ずっとニヤニヤと笑みを隠しきれていない。