「成田さんはこんなの」
「はい?わたしはそこまでニワトリ歩きじゃないし」
「僕だって違うし」
「瑞季くんはけっこうニワトリだったよ」
「てか、ニワトリって何!?」
「ニワトリはニワトリだよ」
当然のように言う成田さんは変わっている。
ちょいちょい言葉選びが成田さん節を効かせてくるんだ。
「コケコケって感じ」
「ほんと意味わからない」
恥ずかしげもなく道路でコケコケ言いながら歩く成田さんに一瞬引いたものの、我慢できず笑ってしまった。
それを見て満足そうに笑顔を浮かべた成田さん。
やっぱり成田さんには敵わないのかもしれない。
「ねぇ、あの人やばい」
「変なの」
「タコダンスだ!」
耳に響く声が聞こえてそちらを向くと、成田さんに向かって指を差しているランドセルを背負った子ども達。
道路を挟んだ反対側にいる小学生に『やばい』って指を差されるなんて、成田さんやばいな。
小学生の男女数人が成田さんをじっと見ている。
「タコじゃないよ。ニワトリ!」
「えぇ~!?見えない」
大きな声で道路を挟んで会話をする。
そこかよ、とツッコミたくなった。
けどそれよりも、普通に話していることに正直驚く。
成田さんは年齢問わず誰とでも距離をつめることができるんだ。
「見ててよ!」
大きな声で叫ぶと、ちょうど青になった信号を確認し、自称ニワトリ歩きで横断歩道を渡る。
僕も距離をあけて成田さんについて行く。
そして反対側にいた10人近くいる小学生の目の前まで来る。
「お姉さんおもしろいね」
「おれ、トラならできるよ」
「トラ?」
「こいつのトラ、すごいから」
「ガオーって?」
「グゥーグォー……グウワォ!!」
「わっ!びっくりした!!」
「っ、」
成田さんと同じタイミングで肩がビクッと上がってしまった。
想像していたよりもリアルだった。
小学生に囲まれる成田さんと、少し離れたところで見る僕。
いつもの光景。
これが普通の距離感。当然のような世界。
僕たちが同じ場所にいるだけで、けっこうすごいことなんだよな。
「はい?わたしはそこまでニワトリ歩きじゃないし」
「僕だって違うし」
「瑞季くんはけっこうニワトリだったよ」
「てか、ニワトリって何!?」
「ニワトリはニワトリだよ」
当然のように言う成田さんは変わっている。
ちょいちょい言葉選びが成田さん節を効かせてくるんだ。
「コケコケって感じ」
「ほんと意味わからない」
恥ずかしげもなく道路でコケコケ言いながら歩く成田さんに一瞬引いたものの、我慢できず笑ってしまった。
それを見て満足そうに笑顔を浮かべた成田さん。
やっぱり成田さんには敵わないのかもしれない。
「ねぇ、あの人やばい」
「変なの」
「タコダンスだ!」
耳に響く声が聞こえてそちらを向くと、成田さんに向かって指を差しているランドセルを背負った子ども達。
道路を挟んだ反対側にいる小学生に『やばい』って指を差されるなんて、成田さんやばいな。
小学生の男女数人が成田さんをじっと見ている。
「タコじゃないよ。ニワトリ!」
「えぇ~!?見えない」
大きな声で道路を挟んで会話をする。
そこかよ、とツッコミたくなった。
けどそれよりも、普通に話していることに正直驚く。
成田さんは年齢問わず誰とでも距離をつめることができるんだ。
「見ててよ!」
大きな声で叫ぶと、ちょうど青になった信号を確認し、自称ニワトリ歩きで横断歩道を渡る。
僕も距離をあけて成田さんについて行く。
そして反対側にいた10人近くいる小学生の目の前まで来る。
「お姉さんおもしろいね」
「おれ、トラならできるよ」
「トラ?」
「こいつのトラ、すごいから」
「ガオーって?」
「グゥーグォー……グウワォ!!」
「わっ!びっくりした!!」
「っ、」
成田さんと同じタイミングで肩がビクッと上がってしまった。
想像していたよりもリアルだった。
小学生に囲まれる成田さんと、少し離れたところで見る僕。
いつもの光景。
これが普通の距離感。当然のような世界。
僕たちが同じ場所にいるだけで、けっこうすごいことなんだよな。