「それでは、次の授業遅れないようにな」


担任の声で我に返る。

チャイムが鳴って、ホームルームが終わる。

最悪な気分のまま、今日が始まった。



「花純、行こう」
「うん!じゃあね、日野瑞季くん」


わざわざ僕に声をかけてから筆記用具を持って席を立ち上がる。

どうして僕に話しかけたんだろうか。

僕の他にも、隣や前の席の人だっていた。


……考えても無駄だ。


考えないでおこう。

今まで僕は他人と距離を置いて生きてきたから、少し戸惑ってしまっただけだ。

きっと、成田花純はただの気まぐれで、特に意味なんてないんだろうな。

こんなのたまたまで、続かないだろう。