「う、うん……?」
話が急展開すぎてついていけない。とりあえず相槌を打っておく。
「ほら、ここ数年、刀剣を擬人化したり、名だたる文豪をイケメン化して戦わせるゲームなんかが流行ってるじゃないですか。それの芸術家バージョンです」
そういえば、そんな類のゲームがこの世に存在すると聞いた事はある。雪夜も一時期は競走馬の擬人化ゲームがどうとか言ってたな。星乃はそんなゲームを自分なりに妄想しているとでも?
考えている隙にも星乃の話は進む。
「それでですね。そのゲームの最大の特徴は、芸術家本人が敵と戦うんじゃないんです。芸術家の作品が戦うんですよ。例えばミケランジェロならダビデ像だったり。有名な作品ほどレアリティが高いんです。その作品たちを複数組み合わせて、自分だけの展示で敵に挑むんです」
「ほ、ほう……」
「それでそれで、アトリエで制作する事で作品を増やしていって、同じ作品同士を合成すると見た目と性能がバージョンアップしていって……」
「ちょっと待て。作品の見た目がバージョンアップってどういう事だ?」
「例えば彫刻作品なら粘土から石膏になり、更にはブロンズや大理石へと材質が変化します」
「……絵画作品なら?」
「額縁が豪華になります」
「…………」
「その上、バトルで経験値を得て、徐々に芸術家達の好感度を上げる事により恋愛的イベントが発生するという、美術系女子大歓喜間違いなしの神仕様です。どうですか? なかなか良いアイディアだと思いませんか? あー、どこかのゲーム会社が開発してくれないかなー。ラファエロ様に筆ドンされたーい」
なんだよ筆ドンって。聞いた事ない単語だぞ。美術系女子とやらの間では共通語なのか?
俺は星乃の妄想ゲームに対してどんな感想を言えばいいんだ? 正直困る。世の中どんなものが流行るかわからないからな。かといって「素晴らしく面白そうなゲームだね」などと軽々しく口にするのも躊躇われる。
だって進化すると額縁が豪華になるんだぞ? どんなメリットがあるんだ? どうすればいいんだ。助けてくれラファエロ……!
ひとり苦悩していると、美術室のドアが、がたりと鳴った。
話が急展開すぎてついていけない。とりあえず相槌を打っておく。
「ほら、ここ数年、刀剣を擬人化したり、名だたる文豪をイケメン化して戦わせるゲームなんかが流行ってるじゃないですか。それの芸術家バージョンです」
そういえば、そんな類のゲームがこの世に存在すると聞いた事はある。雪夜も一時期は競走馬の擬人化ゲームがどうとか言ってたな。星乃はそんなゲームを自分なりに妄想しているとでも?
考えている隙にも星乃の話は進む。
「それでですね。そのゲームの最大の特徴は、芸術家本人が敵と戦うんじゃないんです。芸術家の作品が戦うんですよ。例えばミケランジェロならダビデ像だったり。有名な作品ほどレアリティが高いんです。その作品たちを複数組み合わせて、自分だけの展示で敵に挑むんです」
「ほ、ほう……」
「それでそれで、アトリエで制作する事で作品を増やしていって、同じ作品同士を合成すると見た目と性能がバージョンアップしていって……」
「ちょっと待て。作品の見た目がバージョンアップってどういう事だ?」
「例えば彫刻作品なら粘土から石膏になり、更にはブロンズや大理石へと材質が変化します」
「……絵画作品なら?」
「額縁が豪華になります」
「…………」
「その上、バトルで経験値を得て、徐々に芸術家達の好感度を上げる事により恋愛的イベントが発生するという、美術系女子大歓喜間違いなしの神仕様です。どうですか? なかなか良いアイディアだと思いませんか? あー、どこかのゲーム会社が開発してくれないかなー。ラファエロ様に筆ドンされたーい」
なんだよ筆ドンって。聞いた事ない単語だぞ。美術系女子とやらの間では共通語なのか?
俺は星乃の妄想ゲームに対してどんな感想を言えばいいんだ? 正直困る。世の中どんなものが流行るかわからないからな。かといって「素晴らしく面白そうなゲームだね」などと軽々しく口にするのも躊躇われる。
だって進化すると額縁が豪華になるんだぞ? どんなメリットがあるんだ? どうすればいいんだ。助けてくれラファエロ……!
ひとり苦悩していると、美術室のドアが、がたりと鳴った。