「蒼生! 調べてきたぞ」

 屋上のドアを思い切り開けるなり興奮したように飛び込んできたのは翔太とひな子だった。

「情報はつかめたか?」

「ああ!」

 蒼生くんの言葉に翔太は自信満々に答え、手に持つファイルを大きく振った。

 私と蒼生くん、柚の3人は、翔太とひな子に呼ばれ、放課後の屋上に先に来ていた。

 それは、水沢奈乃香のミッションが一旦白紙になり、次のターゲット“uta no oto”というアカウントネームから、どんな悩み事なのか調べて欲しいと2人にお願いしていたものだった。

 いつもに増して翔太とひな子の仕事の早さに驚いていた。

 なんとなく気になっていた、この“uta no oto”という人物の悩み事、それが翔太とひな子の興奮した話し方に、私のあの時の勘は当たっていたんだと確信した。

「これを見てくれよ」

 そう言って翔太から手渡されたプリントを見ると、そこには大きく引き伸ばされた女の子の写真があった。