「この様子だと、ずいぶん時間がかかりそうだよな、蒼生」

「そうだな。次のターゲットのことを考えておいた方がいいかもしれない」

「次のターゲット!? 今回の水沢奈乃香のミッションは無理ってこと?」

 水沢奈乃香が帰った後、みんなは浮かない顔をしていた。そんな様子に、ひな子も焦っているような、イラついているような、そんな言葉だった。

「そうじゃない。時間がかかってしまうかもしれないってことだよ。相手の存在が見えないままじゃミッションは決行できない。想いを伝えたいっていっても相手がいなければ無理だ」

「……」

「……」

 蒼生くんの言葉にみんなが黙り込んだ。

「新菜はどう思う?」

「え?」

 蒼生くんが私を真っ直ぐ見つめた。

 蒼生くんが私の意見を大切にしてくれることはわかっている。でも、みんなの水沢奈乃香の件を進めたいという気持ちもわかっている……。

「新菜、遠慮なんてしなくていいんだ。なにか考えがあるなら言ってくれ」

「うん! 新菜そうだよ。みんなの意見が聞きたいんだからさ」

「蒼生くん、ひな子……」

 みんなの視線が集まった。