そこに現れた、水沢奈乃香はとても小柄で美人だった。
確かにこんな可愛い子が同じ学年にいたのかと思うほどで、でも話してみるととても大人しく、電車で会う片想いの相手に声もかけられなかったというメッセージがしっくりくるような、そんな印象だった。
水沢奈乃香は、か細い声で話し出した。
「クラス委員が揃っているんですね」
私たちのことを見回し、そう言った。
水沢奈乃香に、“青森佑二”の存在は伝えず、想いを寄せていた相手がどんな男性だったのかを聞き出した。
いつもの時間に乗る電車の隣車両に物静かに座っている男性だという。制服やスーツではない恰好から、見た感じのイメージだと大学生ではないかということだった。
青森佑二も届いたメールには大学生と書いてあった。
背丈や、顔の印象、似ている芸能人、周りに友人らしき人物はいなかったのか?
聞き出せるすべてのことを聞き出した。