――結局、学校に着いたのは、みんなが昼食をとっている頃だった。

 こんなに遅くなったのは久しぶりな気がする。

 賑やかな校内、生徒たちに逆らうように早足で階段を駆け上がる。私は教室には行かず、そのままある場所に向かっていた。
 4階の理科室を通り過ぎた先、さらにその奥の階段を上がると、そこは屋上へ続く。

 昼休みの騒がしい生徒たちの声が遠くなったその場所。上り切った踊り場には、立入禁止と大きく書かれた看板と太く重々しいチェーンが伸び、ドアには大きな南京錠がかけられ入れないようになっていた。そのチェーンをくぐり南京錠がかけられた扉を開けると、そこは一面真っ青な世界が広がっている。

 高台にあるこの学校は、屋上まで上がれば視界を遮るものはない。

 高い建物やマンションが見えるのは遥か彼方で、最寄り駅が徒歩15分って、不動産屋並みの計測だって信用がないくらいに思えた。