大通りに出た所に置いてある木製のベンチに、蒼生くんはドカッと大きな音を立てるように座った。
今までの暗い夜道が嘘のように大通りに出ると目に飛び込んでくるたくさんの光に、一瞬立ちくらみのような感覚を覚えてしまう。
「昔の俺みたいで笑える」
「……笑えるって……真面目に話してるのに……」
「まだ、いい方だってことだよ」
「え?」
「俺は母親と1年以上会ってなかった時があるんだ」
「1年!?」
「父親はどこに居るのかも分からなかったから、何年会ってないかも忘れた」
「……お父さんはカメラマンだっけ」
「ああ」
そっか……蒼生くんの両親も離婚しているって言ってたっけ。
でも、お父さんにも、お母さんにも会っていない時があったって……。
今まで蒼生くんは、どんな生き方をしてきたんだろう?
私は蒼生くんの隣にそっと座った。