「てめぇ! 追いかけろ!」

 男の声に仲間たちが私に向かって、笑いながら走ってくる。

「!」

 男たちのその高笑いと、私に向かって走ってくる男たちの足音が、私の体を震えあがらせた。

 ここで捕まったらヤバイ!

「……はぁっ……はぁっ……」

 いくつもの細い角を曲がっても走って追いかけてくる男たちに息が続かなくなってきた。走る方向を間違えたのか、大通りに見えていた眩しいネオンが、どんどん小さく、遠くなっていく。

「いたぞー!」

「!」

 目の前に男が立っていた。

 大きく叫ぶ声が耳に弾ける。

 きつく肩を掴まれたその時、男の姿が目の前を落ちていった。

「!?」

 息が速まり、ドクドクと心臓が鳴る。

「おい! どうした!?」

「大丈夫か!?」

 走って来た男の仲間たちが倒れた男に声をかけた。痛みを我慢するような男の唸り声。

「てめぇ! 何して……」

 怒りに満ちた男たちが私へ振り向くと、見つめる目がどんどん見開いていく。