普段ならサラリーマンやOLさんがたくさん通る路地。オシャレな食べ物屋さんや雑貨店が並び、人の行列を見かけるような賑やかな場所。そこを過ぎようとした時、場所に似つかわしくない男たちに出くわした。

 前から歩いてくる5人の男たちは大声を張り上げるように笑っている。

 暗がりの道、オシャレに見える抑えめな暗い街灯が余計に私を不安にさせた。

「!?」

 すれ違いざま、いきなり腕を握られた。

「こんな可愛い子がこんな時間に何してんの?」

「……!」

 急に近づいてきた男からは、プンとお酒のキツイ匂いがして、思わず顔を背けた。周りに居る男たちは笑っているだけで、酔っぱらったその男を止める様子はない。むしろその様子を楽しんでいるようでもあった。

「一緒に飲みにいこうよ」

「……」

 私は掴まれた腕を振り払うと、無視して歩き出す。

「ちょっと、ちょっと、シカトかよー」

「やめてよ!」

 再び掴まれた腕を私が力強く振り払うと、男はためらいもなく私の髪を掴んだ。

「いたっ!」

「こんなナリしてるくせに、声かけて欲しいと思ってうろついてたんだろーが!」

 いきなり男が大声で怒鳴り始めると、少し先を歩いていた仲間たちが小走りで戻って来た。

それを見て私は、目の前に居る男を突き飛ばすと走り出した。