冷たくなってしまったミートグラタンをかき込むように食べ終わらせると店を出た。
どこか行きたいところがあるわけでもない。お店も少しずつ閉まり始めているし、夜の街をぷらぷら歩く。
日曜日の21時。この時間になると家族連れもカップルも少しずつ出歩く人が減り、それでも煌々と輝くネオンが眠らない街を象徴していた。
こうやって歩き回ることも初めてではないし、1人でいるのは嫌いじゃない。
友達と意味なく話すことは苦手だし、だったらまだ1人の方がマシだって思うけど、なんだろう……どこか体からぼろぼろと魂が流れ出てしまうような空虚感。
ずいぶん歩き回った感覚に、スマホを見ると22時を過ぎようとしていた。ママからの連絡がないってことは、まだ帰っていないってことだ。だったらこのまま家まで行こうと歩き出した時だった。