ミッション決行日。

 学校が終わった放課後、あの駅にメンバーと陸くんが集まった。

 時刻は18時を過ぎ、帰宅ラッシュで混雑した駅構内。すれ違う人がぶつかり合うくらいの混雑の中、あのピアノには人だかりが出来ていた。

 次々とピアノを弾く人の演奏に足を止める人々。大きな拍手が構内を包む。
 金曜日というのも人の足を止める要因になったのかもしれない。

 その様子を私たちは離れた場所から見ていた。

 いつも無表情な陸くんの顔もこわばり、血の気が引いていっているのが見て分かった。

「緊張してる?」

「……」

 私の言葉に陸くんの返事はない。

「大丈夫、きっと成功するから」

 私はピアノでにぎわう人々を見つめ、そう言った。

 きっと蒼生くんも同じことを言うはず。