「蒼生、それでどうなったんだ?」

「今回のミッション決行の場所がここ」

「ここ!?」

 蒼生くんの言葉に、みんなが周りを見回した。

「蒼生くん、ここって……駅?」

「そう。まさしく、この場所」

 蒼生くんがそう言うと、タイミングを合わせたようにピアノが鳴り出した。

「!」

 そのピアノの音に強く反応したのは陸くんだった。

 みんなの視線の先にあるもの、それは駅構内に置かれたストリートピアノ。
 誰でも自由に弾けるように街中など公共の場に設置されたピアノのこと。

 いろんな人が代わる代わる弾くピアノに、集まった周りの人から拍手が起こっていた。
 それを見つめる陸くんの目は、なんとなく切なく悲しげだった。

「この場所、このピアノが決行場所だ」

 そう言った蒼生くんに、陸くんは驚きの表情を見せた。

「陸の気持ちが固まったら、すぐにでも決行する」

 蒼生くんはみんなに言った。

 人々が激しく行き交う大規模なターミナル駅。
 そのざわめきの中、ピアノに集まる観客の数。

 ピアノの音に耳を澄ませるように目を瞑る陸くんの口から「アイツに謝りたいんだ」その言葉が発せられた。

「よし決まりだ!」