その時、遠くの蒼生くんと目が合った。

 ガタンと翔太が立ち上がる。
 蒼生くんが手招きしているのを見て、みんなが一斉に立ち上がった。
 お店を出てみんなが蒼生くんの周りに集まると、陸くんは驚いたように目を丸くした。

「……これが噂の“願い屋”のメンバーか」

「“願い屋”?」

 陸くんの言葉に翔太が笑う。

「そんなふうに言われてるのか」

「なんだかちょっとダサイね」

 みんながホッとしたのか、“願い屋”というワードにクスクスと笑い始めた。

「今すごい噂になってるよ。手紙が届いた人の願いを叶えてくれる“願い屋”がいるって。オレは信じてなかったけど、まさかクラス委員長の面子が揃っているとはな」

 あまり声を聞いたことがなかった陸くんの、少し穏やかな話し声を聞くと、蒼生くんの説得が上手くいったとこを証明していた。