ミッション決行、それは私のところにも届いたあの手紙がスタートだった。
“相談事承ります”
本当に相談したいこと、悩みがあること、それを誰かに聞いてほしいと、解決してほしいと思っていれば、必ず指定された場所にターゲットは現れる。
蒼生くんの確信通り、指定された場所に陸くんは現れた。
とある駅の中央改札。その駅は1日40万人近くの利用者がある大きな駅だ。
その駅の中央改札内に陸くんは現れ、蒼生くんと顔を合わした。
私たち4人は蒼生くんと陸くんが見える場所で様子を伺っていた。何を話しているのか、行き来する人に隠れて陸くんの顔さえもここからではよく見えない。時折その場から去ろうとする陸くんの様子が見えたが、その度蒼生くんに声をかけられ立ち止まるを繰り返していた。
「あー、まだ陸の気持ちは固まらないのかー。何話しているのか気になるな」
「そうだよね。いつものターゲットより蒼生が説得するのに時間がかかってる」
「私、近くに行ってこっそり話聞いて来ちゃおっかなぁー」
「柚ダメだよ! もう少し辛抱して。蒼生くんなら必ず説得してくれる」
翔太、ひな子、柚、みんなが、もどかしい思いをしていた。3人をなだめていても、自分も落ち着かなくなってきているのを感じていた。
それだけ陸くんの“悩み”が根深いことを表していた。
でも……私たちより蒼生くんの方が必死なのはわかっている。
蒼生くんを信じて待つしかないんだ。