「……それで、あんな目をしているのか……」

「蒼生どうする? なかなか手ごわい悩みだと思うぞ。オレらで解決出来るのか?」

 何かを考えるように言った蒼生くんへ翔太は確認した。
 確かに今までの生徒の悩みとは違う気がする。すごくデリケートな……もし上手くいかなかったら大変なことになり兼ねない。

「もちろん決行するさ」

「……蒼生くん」

 なんのためらいもなく答えた蒼生くんの顔は自信に溢れているようにも見えた。

「今の話で確実になった。陸 和也は自分が犯してしまった罪を抱え生きている。それは大切な親友を失った罪悪感と親に信じてもらえなかった悲しみと、イジメを起こしたヤツらに対する怒りと……」

 みんなが無言で頷いた。

 あの陸くんの闇を持つような雰囲気は間違いではなかった。
 蒼生くんの言うように、いつか人を殺めてしまいそうな……自分の命さえ絶ってしまいそうな……そんな闇。

「陸はその悩みを解決するって話をして、オレたちの言葉を素直に聞くかな?」

「翔太が珍しく弱気だな。いつもの手紙を出してみればわかる。本当に悩みを解決したいと思っていれば、必ず指定された場所に陸は来るはずだから」

 いつも思う、蒼生くんのこの自信はどこからくるものなのか……。

 本気で他人(ひと)を助けたいと思っている。

「よし! ミッションスタートだ!」