「武下樹は頭も良く優秀で、ピアノですごい才能を開花させた。それが妬みにつながりイジメの原因になった。周りからイジメられているのを見て怖くなった陸は、自分もイジメる側になってしまった」
「イジメる側に……」
「幼馴染で仲が良く、親友と思っていた陸からイジメに遭った武下樹はショックで自殺してしまった。それは未遂で終わったけど、イジメの事実が学校に知られ、武下樹は転校した」
「なるほど、それで転校か……」
「そのイジメの主犯が陸だとイジメていた仲間から言われ、陸は学校にいられなくなり引きこもりになった」
「え……陸くんが主犯!? どういうこと? 仲間から言われたって」
「もちろん、そんなのは嘘だよ。陸は仲間に裏切られてイジメの主犯にさせられたってこと。それが原因で仕事を辞めることになった父親は陸を……息子を家から追い出した」
「陸は親からも見捨てられてしまった……」
「ひどい……」
翔太とひな子の言葉が胸に刺さる。
親との問題は自分だけではないんだと思い知らされる。
ううん、陸くんは親だけじゃない。大切な親友も失ってしまった。
こんなひどいことがあったなんて……。
「……」
蒼生くんは言葉を発せず、そのまま手すりにもたれ掛かると大きくため息をついた。