「もー!」

「新菜のこの顔ウケるー。待ち受けにしようかな」

「蒼生くん!」

「あはは」

「……」

 蒼生くん、こんなに笑う人だったなんて。

 初めて見た時は、それこそ殺気めいた()をしていて、恐いという印象を与えていた。髪形とか、見つめる大きな瞳がそういう印象にさせているのかもしれないけど、なんとなく近寄りがたいというか……。
 でも、そのシリアスさというか、クールな感じが女子からウケているんだろうなっていうのは、今になってすごく分かる。
 蒼生くんみたいな一見悪そうに見える生徒って、この学校にはあんまりいないし。

「蒼生くんもカメラマンになるの?」

 私はそう言いながら自分のスマホを取り出し、蒼生くんへ向けた。

「おい! やめろって」

「私ばっかり撮るなんてずるいもん! あっ!」

 シャッターを1、2度押しただけで、すぐスマホを蒼生くんに取り上げられた。

「ちょっとー」

「なんだよ、このカメラアプリ。画質がものすごく悪いな。こんなんじゃ昼間の人物だって綺麗に撮れないぞ」

「え? そうなの? レビューがいいのをインストールしたのに」

「これだから素人は。スマホでちゃんとした写真が撮りたいなら、チップや解像度、画素数も事前にチェックしないと駄目なんだ」

「いや、そんなにカメラ性能を気にしてないし」

「そもそも、この機種じゃなぁ……」

「……」

 ブツブツ言いっている蒼生くんを見つめた。