カシャ、カシャ!

 その音に私は蒼生くんへ思い切り振り向いた。

「あー!」

 やっぱり! カメラのシャッター音!

「もう! なんですぐ写真撮るのー!?」

「新菜がボケーッと突っ立ってるから」

「もー! ボケっとなんて立ってないよ! 考え事! 私、写真うつり悪いんだから、やめてよねー!」

 何度も何度も写真を撮られていれば、スマホカメラの小さなシャッター音だってすぐに気付くようになった。

「ヤーダね!」

「また変な顔の写真撮って、人を脅迫するつもりでしょー」

「人聞き悪いこと言うな」

「だってそうじゃない! 『変な顔の写真バラ撒くぞ』って言ったの蒼生くんだし!」

「あの時はそうでも言わなきゃ新菜は仲間にならなかっただろ?」

「……まぁ……そうだけど……」

 何も知らない人から『仲間になれ』なんて言われて怪しむに決まってるじゃない。同じクラスだけど話したこともなかったし、転校してきた初日の印象はあんまりよくなかったし。
 考えてみたら、私と蒼生くんの接点なんてなんにもないのに、なんで私をこのSSFの仲間に選んだのかもわからない。

 あ、ただ私がクラス委員だからってだけか。