今回のターゲットは、蒼生くんがどうしても仲間に加えたいと言っていた、2年E組のクラス委員長、陸 和也。

 学級委員会で顔を合わすことは何度もあったが、話したことはなかった。

 なぜか、陸くんは人を寄せ付けない雰囲気を持っていた。

 私みたいに優等生のフリしていきなり金髪になるような、そんな極端なことではなくて、そもそも人を近づけさせないような、話しかけられないような、そんな重い空気をまとっていた。目を合わすこともなくて、そんなんでよくクラス委員長とかしているなって不思議に思っていた。
 まぁ私もそうだけど、クラスのみんなに押し付けられたんだろうって。

「なんだか、人を信じられないような、いつか誰かを殺めてしまいそうな……」

「誰かを殺める!?」

 いつもの屋上、みんなで次のターゲット、陸 和也の話をしていた。

 蒼生くんの聞き慣れないそんな言葉に私は驚き、声をあげた。

 だって、そんな言葉簡単に言えるもんじゃない。もしそうなら抱えているものが単なる悩みなんかではなくなってしまう。そうしたら、素人の私たちに何が出来るのか……悩みを解決することなんてできるのか……。

 一気に不安が押し寄せた。