大きく開いた手を空へ向けた。
ハラハラと雪の舞う、空へ。
今日もまた季節はずれの雪が降った。
大学3年の春。
私はあの時までずっと色の無い、無音の世界で生きていた。
でも今は違う。
もう無音なんかじゃないよ。
しっかりと時間は動き続けている。
何もなかった無色の世界は色をつけ、輝きを増している。
あの時の私の願いは届いているかな?
カシャカシャ。
カメラのシャッター音に気付き、振り向いた。
耳に残る懐かしい音に、何度も振り返る。
聴こえるはずはないのに……。
そこに、君がいるはずは、ないのに――――。
「新菜」
「……蒼生……くん?」
私の願いを叶えてくれますか?
『相談事承ります』
『あなたの悩み解決します』
『SSF ―Special Snowflake―』
END