「あまり大人数で活動も出来ないけど、陸が説明をして、春見もSSFに加わることになったんだ」
「あ、そうなんだ……」
いろんなことが変わっていて、ずっと驚きっぱなしだ。
「あの時」
話し出した春見詩音へ、みんなの意識が集まった。
「あの時、みんなのお陰で両親にも私の夢を理解してもらえた。今では母親が私のマネージャーみたいなことを始めちゃって、遠いコンクールやイベントには父も車を出してくれたり。こんなに両親が変わるなんて思いもしなかった」
「そうなんだ。夢にどんどん近づいているんだね」
「うん。本当にSSFのおかげ。もし私に出来ることがあるなら、どんなことでもしたいって思うから」
春見詩音の言葉にみんなが微笑んだ。
陸くんも幼なじみの武下樹とは上手くいっていて、自分がピアノを弾かなくなったかわりに、木下樹のピアノのサポートをしているらしい。
春見詩音とも上手くいって、公私ともにというか、今までの生きてきた環境が嘘のようだと話していた。
充実していることが、生きていると実感できる。そんなふうに話す陸くんは、どんなに大変な思いを経験してきたのか……。その時間を埋めるように今はこんなにも笑顔が似合う。
みんながこんなにも変わっていることに、本当にビックリする。
それに比べ私は……。