「蒼生の考えていたようなことを現実にするには時間がかかった。こうやって、みんなで集まることも以前のようには出来ないだろうからな」

「うん、そこで、翔太は会社を作ったんだよ」

「え!? 会社!?」

 ひな子の言葉に驚いた私の声はひっくり返る。

「今までは柚の力を借りて、お店や小道具なんかも用意出来ていたけど、もっと本格的に活動するために、ちゃんとした会社としての名前があった方が動きやすいしね」

「まあ、表向きはIT関係の会社ってことで、ひな子にも手伝ってもらってるけどな」

「……」

 2人の様子を見て、私は無言になった。

 柚の方を見ると、うなずきながらニヤニヤと笑っていた。

「え? まさか、翔太とひな子って……」

 コソッと柚へ言うと、またニヤニヤと笑いながら大きくうなずいた。

 まさか……翔太とひな子が、くっつくなんて。

 2人はネット関連のことはめちゃくちゃ詳しくて、そういう仕事をするために大学へ入ったようなもんだって言ってたくらいだし、SSFの時も2人で活動することが多かったけど……。

 翔太もひな子も、モテるわりには恋愛に興味がないってタイプだったから……。

 私は驚きで言葉も出なくなっていた。

 だから翔太はあえて学校のランクを落としてまで、ひな子と同じ大学を受験したのか。

 それにしても、翔太が起業するなんて、本当にビックリ。