「奥に翔太と柚もいるよ」
カフェの一番奥のテーブル席。グリーンに囲まれた席からひょっこりと顔を出し、手を振る柚の姿が見えた。ここら辺の学生の姿が多いカフェで、この奥の席は広いフロアから離れているせいか、少し静かに感じた。
「新菜ちゃん久しぶり! 元気だったー?」
「うん。柚も相変わらずって感じ、変わらないね」
「そうー? 少し大人っぽくなったでしょー?」
「ん? うん、そうだね」
言葉を途切れさせた私に、みんなが笑った。
柚もこの可愛い感じは相変わらずだ。少し頼りなさそうに見えて医学の道に進もうとしていることが不思議でならない。少し短くなった髪がその意気込みを感じさせていた。
「相変わらずだよ。みんな」
そう笑いながらコーヒーを飲む翔太は、ぐっと大人っぽくなったように見えた。
翔太はこのメンバーではずば抜けて頭が良いはずなのに、なぜかランクを落とした大学に入学した。「やりたいことがある」そんな話を以前少し聞いていたけど、それに向かっているのか、どこか余裕を感じさせていた。