悪い事をすれば、それはいつか自分に返ってくるものだと、何かの本で読んだ気がする。

 神様はすべてを見ている。

 神様の(ばち)が当たった。

 でも、そんなの私は信じない。信じたくない。

 誰にだって過ちはあって、それを抱え、苦しんで生きている人だっている。

 神様だって過ちはあるでしょ!?

 え?

 ない?

 だったら、その(ばつ)を、蒼生くんの背負う(ばつ)を私が受けるよ。

 誰かのためになりたいと、みんなの悩みを解決したいと、そう思う蒼生くんはこの世に必要な存在なんだよ。

 その蒼生くんを神様は消してしまおうとするなら、私が代わりになるから。

 だから、どうか――――。



「絶対、待ってる!」



 みんなが叫ぶその声に振り返ることなく、蒼生くんは6月の雪とともに、儚く溶けた。