「雪みたい……」

「雪?」

「うん、蒼生くんのあの写真みたいな。綺麗な雪……」

 そっと手を空へ差し出した。

 その手に重なるように蒼生くんの手が私に触れる。

 無音になった――――。

 あの時のように。

 私の世界がかわったように。

 一瞬にして消えた音、そこにはキラキラ輝く雪の結晶と、蒼生くんの優しい瞳があった。

 蒼生くん――。

 舞い散る雪のような。

 季節外れの雪の中、そっと唇を重ねた。

 胸が熱くなる。

 繋いだ手を離したくなくて、強く握った。

「新菜、ありがとう」

「蒼生くん……」

「好きだったよ」

 止まってしまいそうな、鼓動。

「……行かないで」

 この手を離したくない。

 離してしまえばもう会えなくなる気がして……。

 止まらない涙と、幾度も重なる唇。

 それは6月の雪の中――――。