「みんなはもう、このSSFという名前の由来をしっかり覚えてくれている。このSSFは俺の光だった」

「光?」

「ああ」

 蒼生くんにとって光。

「1年前、俺は皮膚がんと診断された」

「え!?」

「なに!?」

「蒼生、何言って……」

 みんなが冗談のように、何度も蒼生くんへ聞き返す。

「メラノーマっていう悪性の皮膚がん。メラノーマは転移も早くて、あっという間だった。今まで親に反発して悪いことばかりしてきた罰が当たったんだ。そう思った。今さら何も必要ない。時間がないならいっそ今すぐにでも死んでしまいたい。そう思った」

「蒼生くん……」

 蒼生くんの手が震えていた。

 小さく、小さく。

 しっかりした言葉で話す蒼生くんの手が震えているのを、私だけが感じていた。