「俺は、人は1人じゃ生きられないと思ってる。悩みも夢もそれを解決したいと思うなら、それを口にすることが大切だと思った」

「……そうだな。オレもそうだった。自分の罪を誰にも話さず、これからもずっと抱えていこうと思ってた。それが間違いだと気付かせてくれた」

「陸くん……」

 陸くんの言葉は、SSFのターゲットの1人として、重みのある言葉だった。

 あの時の陸くんは本当に別人で、声さえも聞いたことがなかった。

「何かを伝えたい相手がいるのなら、それを口にすることも、勇気をだすことも必要だって思った。その背中を押す役目が出来ればと思ったのが、このSSFを作ったきっかけだった」

「そうだよね。蒼生はSSFの名前の由来をそう説明してたもんね」

「うん『1人1人違って当たり前。それが個性なんだ』ってね」

 ひな子と柚が笑う。

 そうだね。蒼生くんはそう言っていた。

 私たちみんな個性的で特別な存在なんだ。1人1人才能を持っている。ひとつとして同じものがない唯一無二の存在。

 人の悩みを聞いて、その個性を引き出す。その素晴らしい才能を見つけ出して認めること。それがSSFなんだ。