「俺は最後のミッションに新菜を選んだ。新菜と新菜の母親を仲直りさせること。それが目的だった」

 話し出した蒼生くんにみんなの視線が集まる。

「今までも、いろんな悩み事を解決してきた。両親との確執、親友との亀裂、恋の悩み、将来の夢。今の俺たちで叶えられることに限りはあっても、そこに相手さえいれば時間はかかっても伝わるはずだと思っていたんだ」

「そこに相手さえいれば?」

「ああ」

 屋上の柵に手をつき、空を眺めるように話し出した蒼生くんの隣に翔太が並んだ。そして、その隣に柵にもたれるように陸くんが立った。

 6月の湿り気を含んだ風が私たちを包んでいた。