パシャ

「え?」

 突然のシャッター音に目が点になる。

「何このアホそうな顔」

「ちょっと! 蒼生くん!?」

 カシャカシャ

 カシャカシャ

 連続で聴こえたシャッター音に私は慌てて顔を隠した。

「もう! 蒼生くん!」

「新菜、何やってんのー?」

「あはは」

「安達、写真くらいいいじゃんかー」

 連写の音がみんなの笑いを誘った。

 みんなが声高く笑う。

 蒼生くんはそれをわかっていて、わざと私にスマホを向ける。

 みんながこうやって声を出して笑うのも、すごく久しぶりだ。

 蒼生くんは撮った写真を確認するように、スマホを見つめると、そっと微笑んだ。

「……」

 蒼生くん……。

 そうやって、いつも私の写真を撮っていたんだ……。

 お母さんが言ったように、部屋中がいっぱいになるくらい、私の変な顔の写真を撮って、笑って……。