「お母さんじゃないんだね」

「……叔父さんを呼んでくれって言ったんだ」

「そっか……」

「蒼生くん、お母さんと仲直りしてね」

「……」

 蒼生くんの返事はなかった。私に言われても迫力には欠けるよね。自分で言っていて、そのカッコ悪さに笑えた。

「君もそろそろお母さんが迎えにくるころだから」

 目の前に立った制服を着たお巡りさんが声をかけてきた。

「……来るはずない」

「新菜?」

「ママが来るはずない」

 あの人は男に夢中で、私のことなんてなんとも思ってない。

私がどんなことをしても、髪を金髪に変えて人から変な目で見られても、あの人は心配することはなかった。ただ「格好悪い」って嫌味を言うだけ。近所の目があるからって自分の保身ばかりを気にして……。

 金髪にした見た目はそれなりの印象を与えてしまうけど、そこをカバーしていたのはお堅いことで有名な学校の制服を着ているから。そのおかげか今まで補導されたりすることもなかった。

 きっとこんなことになって、警察のお世話になって、ママはまた嫌味を言うんだろう。

 カッコ悪いって、私が居ることが恥ずかしいって……。

 私なんか居なくなった方がいいって――――。