結局、蒼生くんの違法薬物疑惑は晴れた。
皮肉にも、蒼生くんが病気で薬を飲んでいるということが薬物なんかに手を出していなという証拠になった。
そのうち、薬物疑惑と連絡したあの男たちも捕まるだろう。
私は1人、警察署の廊下のベンチに座っていた。
警察署ということもあってか、慌ただしく動き回る職員の様子が、私を緊張させていた。きっとこの正面の窓口は何かの手続きをするところなのか、さっきの怖い刑事さんのような印象の人はいなく窓口で対応する女性の職員さんは笑顔を見せていた。それがちょっと救われる。
「新菜……こんな目に遭わせて、ごめんな」
そっと隣に座った蒼生くんが言った。
「ううん。蒼生くん、叔父さんが迎えに来たの?」
見ると、以前話していた叔父さんという人が何か手続きをしていた。
お母さんの弟って言ってたっけ。背格好はお母さんに似ている気がする。