あの時……何もかもがもうどうでもいいと思えていた。

 あの時、蒼生くんの写真に私は救われた。

 なぜだかわからない、あの大きな写真を見た時、その中に入れる気がして、そっと手を触れた。

 海に溶ける雪。

 空はグレー。

 無音。
 
 胸が鳴る。

 何もないその海に私も溶けていきたいと思った。

 私しか知らないその世界に行きたいと思った。

 まさか、そんな私を蒼生くんが見ていたなんて。

 この世から去ろうとしていた、そんな思いをお互いに消し去って――――。


 私は、蒼生くんを守りたいんだ。

 どんな人であっても、どんなことがあっても、ずっと――――。