「だったら! だったらしっかり治療をしてよ!」

「……母親に言われたのか?」

「え?」

「病院に戻るように言ってくれって、母親に頼まれたのか?」

「蒼生くん……」

「くっ……相変わらずだな」

「え?」

「母親だよ。こんな状態になっても自分からは直接言ってこないんだな。ホント笑えるよ」

 そう言った蒼生くんの顔は今にも泣き出してしまいそうな、そんな切ない顔に見えた。

「蒼生くん!」

「俺はまだ、やらなければいけないことがあるんだ」

「もう、ミッションのことなんてどうでもいい! 蒼生くんの体の方が大切……」

「ダメだ! この最後のミッションは必ずやり遂げるんだ!」

 私の言葉も聞かず、蒼生くんはそのまま屋上から出て行った。

『最後のミッション』

 そんな……自分より大切なことなの!?

 自分の命よりも……。

 私は何も出来ず立ち尽くしていた。