「次のターゲットは、陸和也か……。E組のクラス委員長だからアイツが俺たちのメンバーに加われば色々動きやすくはなるだろうけど」
「でもねぇ……ちょっと手ごわそう。委員会で会っても話す様子はないし、友達もいる感じはしない。どんな奴なのかぜんぜんイメージも出来ないよ」
私たちは、その日の放課後、屋上に集まっていた。
翔太とひな子は、サバサバした性格が似ているのか2人でよく話をしている。
次のターゲットである陸和也について話をしていたが、まったく掴めない陸くんに対して頭を抱えていた。
「陸和也、何か大きな悩みを抱えている気がするんだ」
どうしても陸くんをメンバーの1人にしたいという蒼生くんの気持ちは頑なだった。
「蒼生の“勘”か?」
「ああ。新菜はどう思う?」
「うん、私もそんな気がする。今回のターゲットが陸くんと聞いて、気になって観察してたんだ。私も委員会の時しか顔を合わさないから気付かなかったけど、陸くんのあの瞳、まるで何かすべてを諦めてしまっているような、何にも期待しないような……」
「何かすべてを諦めてしまっているような?」
「うん……それが一体なんなのか……」