「私たちが蒼生をほったらかしにしていたから、蒼生はどんどん道に外れて、何度も警察のお世話になっていた。それでもあの子は一切変わることはなくて、私も諦めがちになっていたの」
「……」
「そんな時だった。気になることがあるって病院に行った蒼生は病気のことを言われたの」
「気になることがある?」
「足に出来たホクロだったわ。どんどん大きくなっていくことに異変を感じて病院に行ったの。それが悪性の腫瘍だった」
「……」
悪性の腫瘍……。
「それから蒼生は家に閉じこもるようになって……」
「……」
「気付いたら家を出て、1人マンションに住み始めて、いきなり高校に編入するなんて言い出して」
「それでうちの学校に来たんですか」
「そうなの。私の弟が蒼生の相談に乗って見てくれていたみたいなんだけど、私は知らないことばかりで……」
「……」
話を聞いていると、蒼生くんが言っていたお母さんの印象とまったく違う。もちろん蒼生くんをほったらかしにしていたって話はしていたけど、蒼生くんが言うよりずっと蒼生くんのことを想っているように感じた。