「……なんで、私?」

 小さく言った私の言葉に、月城蒼生は遠くを見つめ「なんでだろうな。俺の勘」そう言った。

「それと、俺の彼女になること」

「はぁ!? なにそれ。そんなの出来るわけ……」

 風になびく長い前髪の奥に隠されている瞳が、鋭く私を見つめる。

「……」

 転入してきた日もそうだった。蒼生くんの鋭い瞳。目が合えばゾクッとするような感覚。

 その感覚がなんなのか……。

 その感覚に、あの瞳に従わなければ――――そんなふうに思わせた。