突然、蒼生くんが私に何かを握らせた。
それは、あの、ターゲットに渡される手紙だった。
『相談事承ります』
まさか自分がまた、この手紙を受け取ることになるなんて――――。
「新菜、よく考えるんだ」
「蒼生くん……」
「このままじゃ、よくならないってことを」
「……」
『このままじゃ、よくならないってことを……』
そんなのわかってるよ。
そんなの、ずっと、ずっと、わかってた。
どうしたら自分が変われるのか、どうしたらもっと強くなれるのか、いつも考えていた。
もっと大人だったら今すぐ家を飛び出して、1人で生きていきたいと何度も思った。
私は蒼生くんとは違う。
頼れる人も、助けてくれる人も、誰もいない。
だからといって、自分を押し殺して『はい、はい』って言ってママの言うことだけ聞いて生きていくなんて出来ないんだ――。