屋上の扉を開けると、もうすでにみんなが集まっていた。

 朝の曇り空が嘘のように、オレンジの空が綺麗に見えた。流れる雲の速さがなんとなく肌寒く感じさせる、梅雨が近づく空。

 みんなの視線が私に集まった。

「次のターゲットは新菜に決まった」

 蒼生くんの真剣なまなざしは、その言葉を重く感じさせた。

「なんで、私?」

 冷静に答えようとしても、何がどうなっているのか、まったく分からなかった。

 蒼生くんがこの学校からいなくなってしまうかもしれないということ、もうSSFは無くなってしまうかもしれないということ、いろんな思いが一気に駆け巡った。

「新菜とお母さんのこと、少し調べさせてもらった」

 翔太の言葉にドキッとする。

 ターゲットが私って、ママとのこと……。

 私はそっと頬を押さえた。

「……」

 今朝のことを思い出し、頬の傷が痛んだ気がした。

 ううん、傷だけじゃない……心が悲鳴を上げていることは自分でもわかっていた。

 それを蒼生くんには気付かれていたんだ。