「どうして屋上に入れたわけ? あんな厳重に鍵もかけられているし、ここに簡単に入れるはずないのに、何か怪しいし……」
なんだかんだと理由をつけて、この場所から去ろうと思っていた。
「鍵なんて錆びて壊れてたよ」
「え?」
「だから新しいのに付け替えたんだ。まったく先生も手抜きだよな。ボロい鍵なんかかけて、閉まっていると思い込んでるもんな。どれだけチェックが甘いかよくわかるよ。ちゃんと鍵がかかっていれば先生たちも何も疑わない。ここに生徒が居るなんてこと思いもせず見にくることはない」
「……」
なんて言うか……ずる賢いというか……。
私が言葉を失っていると、月城くんはスマホを私に見せた。
「俺の仲間にならないと、この変な顔の写真バラ撒くぞ」
「はぁ!?」
変な顔って……。
スマホには、さっき撮られた私の驚いている顔や、動き回る私に写真がブレて、半目になった変な顔が何枚も写っていた。
なんなのコイツ……脅迫!?
「俺の仲間になるなら、新菜の悩みも必ず解決してやるよ。いや、新菜の願い事を叶えてやる」
「……新菜って……」
いきなり呼び捨て……。
願い事を叶えてやるなんて……言い切ったその言葉、どこからくる自信なのか……。