「新菜ー! 新菜!! 早く起きなさいよ!」

「うるさ……」

 相変わらずキンキンとした声で叫ぶママの声。毎朝、目覚めは最悪だった。
機嫌がいい時と、悪い時がすぐわかる。この情緒不安定なのやめてほしいって本気で思う。

 私はベッドのなかに深く潜り込んだ。

 あれからまた、学校に行きたくない病が再発した。前の私に戻ったみたいだ。カーテンから覗く朝の眩しい光さえ鬱陶しく思える。

「新菜! いい加減にしてよね。ママだって忙しいんだから!」

「……」

 部屋にまで怒鳴り込んでくるなんて、よほどのことがあったんだってすぐわかる。

 私はドアの前に立つママへ視線を向けた。

「新菜!」

「うるさいな。起きてるよ」

「だったら早く下に降りて来なさいよ」

「……」

 この間の浮かれている様子が嘘みたいに、顔は般若の面みたいな恐ろしい顔をしてる。