ガチャガチャ!
何度もドアを開けようとする音が聞こえていた。みんながその音にゴクリと息を飲む。
「……」
「……」
一瞬の沈黙。
コツコツと足音が遠のいていき、そしてすぐ、その音が消えた。
「……大丈夫だ」
ドアが開けられていないことを確認した陸くんが、私たちを小さく呼んだ。
「はービックリした」
「もう、心臓止まるかと思ったよ~」
「陸、鍵かけたのか?」
「ああ、鍵がかかっていれば中に誰か居るなんて思わないだろ。だから無意識に中から鍵をかけてた」
「さすが! ファインプレーだな」
「陸、すごい!」
「よかった~」
みんなのホッとした声を遠くに、私は立ち上がることが出来なかった。
「新菜、大丈夫か?」
私の腕を支え、立ち上げようとする蒼生くんの手のぬくもり。それを感じ、涙が溢れた。
「新菜!?」
「新菜ちゃんどうしたの!? 怖かった!?」
私は大きく頭を振った。
『SSFを辞めたい』
あんなこと言っても、結局は強がりで……。
このままSSFが無くなってしまうんじゃないかと思うと怖かった。このメンバーみんなが離れてしまうのが怖かった……。
いつの間にか、私にはこのSSFが無くてはならないものになっていたんだ。
でも……。
「ここがバレるのも時間の問題かもしれないな……。俺もこの学校にいつまでいられるか分からない」
「蒼生……」
「次のミッションが最後になるかもしれないな」
いまさら気付いた私の気持ちとはうらはらに、蒼生くんの言葉は残酷だった――――。