「必要ないよ」

「蒼生!」

「蒼生くん!」

 そこに蒼生くんの姿があった。

 何も変わらない蒼生くんの姿。みんなの喜ぶ声が上がり、蒼生くんへ駆け寄った。

「蒼生どうしたんだよ。休むわ、連れ去られるわ」

「あはは、悪い」

 翔太の言葉に苦笑いする蒼生くんは、なにも変わっていなかった。その様子にホッとため息をついた。それは、みんなも同じだった。警察に連絡なんていっても、そんな大事になってどうしたらいいのか、みんなも状況についていけていない感じだったから。

「悪かったな、心配かけて」

「本当だよ。あんなこと言ったけど、蒼生がいなくちゃこのSSFは続かない」

「ひな子……」

「新菜も悪かったな。ビックリしただろ」

「……うん」

「ここまで知られちゃ黙っているのは駄目だよな……。うちの母親の仕業なんだ」

「母親!? お母さん?」

「ああ」

 蒼生くんのお母さんが、あんな手荒なことをしたの?