「新菜、大丈夫だから」

「え……」

 蒼生くんの冷静な、落ち着いた言葉に私は叫んでいた声が止まった。気が抜けるような感覚。車から押し出されるように私は地面に座り込んだ。

「新菜!」

 蒼生くんの声が小さく聞こえると、大きな音とともにドアが閉まり、慌てるように車は走り去った。

 何が……。

 蒼生くんは、どこに連れ去られてしまったの!?

『大丈夫だから』ってどういうこと?!

 パニックで何も出来ず、私は呆然とその場所に座り込んでいた。

『蒼生くんが連れ去られた』

 SSFのみんなから何度も届いていたメールに、私が返信したのはそのすぐ後だった。

 理由も分からない、何が起こっているのかも。

 まるで刑事ドラマのワンシーンのような一瞬の出来事。蒼生くんに何度連絡しても繋がることはなかった。