「ちょっと! 月城くん!?」
写りたくない一心で、何度も顔を隠す私に月城くんは写真を撮りながら話し続けた。
「生徒の悩みを解決する手助けをしてほしい」
「なに!? なんのこと!?」
逃げ回る私を月城くんは、面白がって追いかけてくる。
「ちょっと!!」
「生徒の悩みを解決するんだ」
「え!? 生徒の悩みがどうとかって、私だって悩んでることがあるのに、なんで他人の悩みを解決しなきゃいけないのよ!」
「ぷっ……」
月城くんは再び吹き出すと、私に向かって下駄箱に入っていた手紙と同じものをチラッと見せた。
「あ……それ……」
“相談事承ります”
「自分も悩んでるから、ここに来たんだろ?」
「……」
なんでここへ来たのか……。
何かのイタズラかもしれない。
不審に思いながらも、なぜかここに来ていた。興味とか好奇心とかそんなんじゃない。
“相談事承ります”
その言葉が無意識に、自分に悩みがあるということを確信へと変わらせていた。