蒼生くんの言葉に、水沢奈乃香はうつむいた。私が話すことへの態度とあきらかに違うことに気付いた。水沢奈乃香は、もしかして……。

「あんたが蒼生の彼女なんて許せなかっただけよ」

「『蒼生』?」

「私はずっと前から月城蒼生のことを知っていた。今までどんな悪さをしてきたのか、どんな人物か、それを知って、ずっと憧れていた」

 それじゃあ昔の蒼生くんのことも知っているってこと?

「まさか、その蒼生がうちの学校に転校してくるなんてビックリで、すごく嬉しかった。それなのに、いつの間にかあんたが彼女になってるなんて許せなかった。だから、いろんな女子を追い立てて、あんたに嫌がらせをしてた」

「あの嫌がらせの手紙は全部、主犯はおまえだったのか」

「そうよ。『蒼生の彼女が安達新菜なんて、似合わないよね』って言ったら、みんな面白がって同調し始めた。そうしたらみんな進んで嫌がらせの手紙を書き始めた。なんの悪気もなく、ね」

「水沢さん……」

 始めから水沢さんに違和感があったのは、これだったんだ……もっと早く気付いていたら……。