みんなと別れ、放課後の静かな廊下をゆっくりと歩く。
「俺が守るっていったのに、ごめんな」
「蒼生くん……どうして」
見上げた蒼生くんの顔は悲しそうに見えた。
もうすぐ下駄箱に着くそんな時、前から賑やかな声をさせ女子数人が歩いてくるのが見えた。近くになると、今までの笑顔が消え、腕を支えられ歩く私の姿を見てコソコソと話し始めた。
それは、あの水沢奈乃香。
「蒼生くん、どうして謝ったりするの?」
「え?」
「『俺が守るって言ったのに』って……」
あの時、私は確かに急いでいて階段を駆け下りていた。だけど……。
「なんとなく、ただ足を滑らせたんじゃない気がしてさ」
蒼生くんは気付いていたんだね――。